火種はやがて炎に

どんどんヘイトが溜まっていく。

 

こういう結末になることを全く予期していなかったわけではない。10月頃から年末年始の予定を聞いてもずっと生返事だった。それでも気にしないふりをしていた。

 

それには理由がある、彼女は年末に国家資格の試験を控えていて、根詰めるタイプだったし年末年始の予定まで頭が回らないのだろうと思うことにしてた。俺は彼女が試験に受かるよう、あらゆる家事をこなし、好きなご飯を作り、どうにか彼女が合格し振り向いてもらえるように努力した。しかし今考えれば、もう別れることしか頭にないから生返事だったんだと痛感している。

 

彼女はもう別れるつもりだったのにどんな気持ちで俺のご飯を食べていたんだろう?俺はまんまと“便利な男“になっていたのだろうか?そんなことを考える苛立ちが募る。家に帰れば、居るのだ。新たな気持ちでスタートなんて切れるわけがない。

 

元カノは家を探すと言うが1月に入っても決まる気配がないので俺が先に引っ越し先を決めた。本当は1月末で引越&退去で綺麗さっぱりしても良かったが、元カノが家無き子になるが可哀想なので2月末に引っ越すことにした。だがそういう気遣いさえも、霞を食べるような不毛な感情だと苛立ってしまう。

30歳を目前にして失恋、彼女はまだ家にいる

同棲した彼女と別れたらすみやかに引っ越ししよう。

 

同棲と失恋を経験して得た教訓だ。

 

彼女と別れたのは12月21日。2年の遠距離恋愛を経てから同棲して約10ヶ月ほどだった。同棲する前にはお互いの両親に挨拶し結婚を前提に、ということで話を進めてきた。もちろんお互いに話し合って納得のもとだと思っていたのだが、蓋を開けてみたら彼女を結婚する気がハナからなかったらしい。

 

最初はまばゆい希望の星だったのか、それともこちらに向かう隕石だったのか。

 

お互いより良い未来に向かっていけると笑顔で話が終わった。確かに俺自身も結婚を見据えていてプレッシャーがなかったわけではない、その時ばかりは少し肩の荷が降りたような気がしたのも事実。しかし、時限爆弾はここでセットされていたのだ。年末年始は彼女のために買ってあった(もちろん買った時は別れるとは思ってなかった)Switchの桃鉄や年末年始の特番を一緒に観て楽しんだ。本当に楽しんでた。

 

自分が異常だと気づいたのは仕事が始まって少し経った帰り道。

 

通勤が嫌な人のパターンは2つある。仕事に行くのが嫌か、仕事から帰るのが嫌か。ふとした時に後者だと気づく。時限爆弾は静かに爆発した。俺はどうして元カノと楽しく桃鉄なんかやってるんだ。本当は悲しくて悲しくてたまらないのに。俺が彼女と結婚したいという思いが彼女を苦しめていた。でも彼女は別れることで、元気を取り戻していた。こんな皮肉なことがあるか。

 

もしも年を越す前に引っ越ししていれば前向きでいられたことだろう。

 

自分の異常さに気づいてからメンタルは不安定になって1日1食で平気になってしまった。仕事も年度末に向けて慌ただしくなり筆を取ってみた次第だ。この文章は元カノと同じ空間で書いている。元カノがこの文章を見たらどう感じるだろうか。元気になった彼女には俺の悲しみなんてどうでもいいかもしれない。だが俺だって膝を抱えて心の闇を育てるわけにはいかない。かと言って、面と向かってヘイトをぶつける勇気がないからこうしている。

 

結局、こういうところなのかもしれない。